WZebraは強さと速さに定評のある知名度の高いリバーシプログラムです。
純正Bookとして、プログラムパッケージに添付されている標準bookと別途インストールするbigbookが存在します。


WZebraは2005年12月27日にリリースされたVer4.2.4が最終バージョンとなっており、それ以降の更新はありません。
ただし、Ver4.2.4は最新のWindows11でも動作可能で、2022年現在でも上記リンクからダウンロードして利用できます。

プレイヤーには「コンピュータ」のレベル5を「Book誤差=1%」「評価誤差=0%」に変更して使用しています。
Book検証を主目的としたため、リバーシエンジンのオプション設定で「評価を省略」と「完全読みを含む」も選択しています。

WZebraはVer4.2.4(2005/12/27公開)を使用しました。
標準bookにはプログラムパッケージに添付されていたデータを使用しました。
bigbookには作者サイトで公開されていたデータ(April 21, 2002版)を使用しました。

WZebraのBookには前記の2種を使用し、それぞれで「変化させない」と4種の変化での対局を個別に行いました。
WZebraの読みの深さは「24手読み+終盤26手完全読み」、中盤については「変化させない」を選択しています。

対局にはエンジン対局機能を使用し、各モードで先手/後手のそれぞれについて連続100対局を行いました。
このため、対局結果には同一着手進行や対称展開も含まれます。
対局結果を保存した対局データベースの備考欄にはこれらについてのコメントが付加されています。


Bookを変化させた場合、WZebraは自らが悪手と認識している着手も選択するようになります。
このため、Bookを変化させた対局では勝敗数からMasterReversiとWZebraの強さを単純比較することはできません。
「評価を省略」を選択したことにより、MasterReversiはBook登録がある局面では登録手の中から最善手を選択します。

WZebraのBook設定	先手時	後手時	対局データベース
標準book-変化させない	72勝00敗28分 (7勝00敗11分)	48勝00敗52分 (26勝00敗28分)	vsWZebra_OBookN.mrd
標準book-変化させる(小)	83勝01敗16分 (60勝01敗15分)	85勝00敗15分 (55勝00敗13分)	vsWZebra_OBookS.mrd
標準book-変化させる(中)	97勝00敗03分 (80勝00敗03分)	98勝01敗01分 (80勝01敗01分)	vsWZebra_OBookM.mrd
標準book-変化させる(大)	97勝01敗02分 (85勝01敗02分)	95勝01敗04分 (88勝01敗04分)	vsWZebra_OBookL.mrd
標準book-変化させる(最大)	95勝01敗04分 (92勝01敗04分)	95勝03敗02分 (83勝03敗02分)	vsWZebra_OBookH.mrd
bigbook-変化させない	49勝00敗51分 (12勝00敗21分)	35勝00敗65分 (18勝00敗38分)	vsWZebra_BBookN.mrd
bigbook-変化させる(小)	83勝01敗16分 (59勝01敗13分)	65勝01敗34分 (54勝01敗28分)	vsWZebra_BBookS.mrd
bigbook-変化させる(中)	88勝00敗12分 (74勝00敗10分)	87勝02敗11分 (66勝02敗09分)	vsWZebra_BBookM.mrd
bigbook-変化させる(大)	94勝01敗05分 (82勝01敗05分)	95勝01敗04分 (91勝01敗03分)	vsWZebra_BBookL.mrd
bigbook-変化させる(最大)	93勝02敗05分 (83勝02敗04分)	97勝01敗02分 (87勝01敗02分)	vsWZebra_BBookH.mrd

括弧内は33手まで同一着手進行/対称展開の対局を除いた場合の勝敗数です。

・標準book、bigbook共に、「変化させない」場合には、MasterReversiの負けはありません。
→MasterReversiのBookにはWZebraとのエンジン対局結果があるため、WZebraが変化しない場合には、まず負けません。

・標準book、bigbook共に、「変化させない」以外の設定時には、若干の負けがあります。
→WZebraが変化する場合、手筋が増えるため、MasterReversiのBookにその手筋が無いケースが増えます。
→その結果として、評価関数による着手が行われる事になるために、評価誤差により負けるケースも出てきます。
→ただし、変化が少ない場合、Bookには、その手筋も格納されているため、負けは少なくなります。
→また、変化が大きい場合には、少々の評価誤差が発生しても勝てるため、やはり負け数は少なくなります。
→上記により、変化の大小にあまり影響されず、若干の負けが発生する結果になっていると考えられます。

MasterReversiとWZebraとの対局では、MasterReversiが評価関数による着手を行った場合に負けるケースが多々ありました。
このため、評価関数の精度が高い場合、Bookが無くても負けないのか、という確認も行ってみる事にしました。
具体的には、評価精度に定評があるEdaxとMasterReversiとの対局も行わせてみました。
結果は以下の通りとなりました。

Edaxのレベル	先手時	後手時	対局データベース
デフォルト (レベル21)	86勝00敗14分 (07勝00敗06分)	37勝02敗61分 (09勝01敗30分)	vsEdax_Level21.mrd
レベル30に設定変更	87勝00敗13分 (06勝00敗08分)	43勝02敗55分 (10勝02敗27分)	vsEdax_Level30.mrd

上記の通り、評価精度に定評があるEdaxでも、負ける事が多々ある事を確認できました。
やはり、リバーシプログラムをより強くするためには、Bookを強化していく事が重要であると考えられます。


Edaxには4.4を利用しました。(Bookは同梱されていませんので使用していません)
対局はEdaxをEdaxBoardを利用してGUI操作可能にした上でMasterReversiのエンジン対局により行いました。