WZebraは10年以上前に最初のバージョンが作成された強さと速さに定評のある知名度の高いリバーシプログラムです。
WZebraの作者による純正Bookとして、プログラムパッケージに添付されている標準bookとbigbookが存在します。
また、第三者(Jan C. de Graaf 氏)によって作成された巨大book(
Extra-large book)も公開されています。
MasterReversiにはProfessional版を使用し、標準添付版/強化版Bookのそれぞれを使用した状態で対局を行いました。
プレイヤーには「コンピュータ」のレベル5を「Book誤差=1%」「評価誤差=0%」に変更して使用しています。
Book検証を主目的としたため、リバーシエンジンのオプション設定で「評価を省略」と「完全読みを含む」も選択しています。
WZebraには2008年12月現在の最新バージョンである4.2.4(2005/12/27公開)を使用しました。
標準bookにはプログラムパッケージに添付されていたデータ使用しました。
bigbookには作者サイトで公開されていたデータ(April 21, 2002版)を使用しました。
Extra-large bookには上記リンクで公開されていたデータ(extra-large-20080301.zipのbook.bin)を使用しました。
WZebraのBookには前記の3種を使用し、それぞれで「変化させない」と4種の変化での対局を個別に行いました。
WZebraの読みの深さは「24手読み+終盤26手完全読み」、中盤については「変化させない」を選択しています。
対局にはエンジン対局機能を使用し、各モードで先手/後手のそれぞれについて連続100対局を行いました。
このため、対局結果には同一着手進行や対称展開も含まれます。
対局結果を保存した対局データベースの備考欄にはこれらについてのコメントが付加されています。
Bookを変化させた場合、WZebraは自らが悪手と認識している着手も選択するようになります。
このため、Bookを変化させた対局では勝敗数からMasterReversiとWZebraの強さを単純比較することはできません。
「評価を省略」を選択したことにより、MasterReversiはBook登録がある局面では登録手の中から最善手を選択します。
デフォルト設定では評価も行われるため、悪手のみが登録された局面では評価関数が善手を選択する場合があります。
標準添付版Bookと強化版Bookの登録局面数は以下の通りです。
| book名 | リーフ数 | ノード数 | 合計 |
|---|
| 標準添付版book | 41,740 | 1,132,248 | 1,173,988 |
| 強化版book | 146,600 | 2,432,594 | 2,579,194 |
WZebraの各BookをMasterReversiのBook構成に変換すると登録局面数は以下のようになります。
| book名 | リーフ数 | ノード数 | 合計 |
|---|
| 標準book | 265,454 | 457,408 | 722,862 |
| bigbook | 529,598 | 974,820 | 1,504,418 |
| Extra-large book | 3,781,147 | 9,294,725 | 13,075,872 |
合計値を比較するとExtra-large book >> 強化版Book > bigbook > 標準添付版Book > 標準bookの順になっています。
ただし、MasterReversiのBookとWZebraのBookを比較すると全登録の中に占めるリーフの比率が大きく異なります。
このため、登録数の大小のみから両者の充実度を単純比較することはできません。
WZebraではBook登録時に評価値による次善手(状況によっては最善手)を同時に登録する方式を採っています。
これに対して、MasterReversiでは添付Bookの作成時には評価値による次善手の登録は行っていません。
このことが上記したリーフ比率の違いとして現れています。
評価値をリーフに持たないため、MasterReversiのBook値は最善進行が登録されている場合には正確な値になります。
一方で、最善進行が登録されていない場合には、Book値は大きく誤ったものとなり得ます。
WZebraでは次善手の登録があるため、Bookを変化させることで様々な局面を発生させることができます。
MasterReversiではBookと評価関数を併用可能とすることで、Bookに次善手がない場合にも変化を可能としています。
MasterReversiでも非最善進行を含む可能性が高い対局の登録時に評価値による最善手を同時登録することは可能です。
添付Book作成時には登録内容に注意を払っているため、この機能は利用していません。
強化版Bookの最善進行の序盤では、利便性を考慮して、全着手候補の24手読み評価値を同時に登録しています。
このため、強化版Bookのリーフ比率は標準添付版と比較して若干高くなっています。
WZebra用BookからMasterReversi用Bookへの変換には
ZebraBookConvが利用できます。
上記のWZebra用Bookのリーフ数等はZebraBookConvの出力からBookを作成して算出しています。
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